山は性癖です。

ヒルクライムは芸術、峠道はロマン。そんな人の日常。YouTubeに車載動画を上げております⇒https://www.youtube.com/channel/UC28MD_W9WmDCoetAcFCGpBg

台灣KOMチャレンジ2018参戦レポート

どうも、篠です。

今日は10月26日に開催された『台灣KOMチャレンジ2018』(Taiwan KOM Challenge)について書きたいと思います。

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海外のレースなんて、正直全く考えていなかったので、6月に青森の岩木山ヒルクライムに参加した時にふぃりりんから執拗な勧誘がなければ絶対参加することはなかったんだろう.....本当に感謝しています(笑)

 

ネットからある程度情報は上がっていると思いますが、

台湾KOMチャレンジは台灣で開催されている

105km、標高差3275m、(累積標高3500m)、制限時間6時間30分

ヒルクライムレースです。

 

このコースプロフィールを聞くと、えっ冗談でしょ...と思いますよね^p^

 

 花蓮七星潭→タロコ大橋→天祥→西宝→新白楊→碧綠神木→関原→大禹嶺→合歓山武嶺

リアルスタートのタロコ大橋までの18.3kmはパレードラン区間になります。

先頭が「放行點」という表記のポイントを通過した時点で全員のタイム計測が始まります。

そう...実は本当の計測区間はリアルスタートから武嶺頂上までの87kmになっています。

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気になる勾配の詳細はこちら。

この図で気が付く方も多いかと思いますが、最初の18.3kmはほぼど平坦です。

87kmで3500mを登ると説明した方がイメージが湧きやすいですよね。

単純に割り算しても87km、平均勾配4%ですが、実はコースの後半に2km下り区間と1km下り区間があって、合計300mほど高度が下がってから登り返すので、かなりの平均勾配詐欺です(笑)

ラスト10kmほどがふじあざみラインに比敵する急勾配の連続、最大勾配27.3%。その時点で乗鞍頂上よりも標高高いから酸素の薄さは容易に想像がつく....

本当にふざけたコースですよ(めっちゃ褒めてます)

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ラスト10kmの高低図、上昇量約1000m。

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日本にも、ヨーロッパにもないようなコースなので、ここ何年間海外でも注目を浴びていて、その為プロレーサーの出場も増えている現状です。

 

 

 

スケールのデカさはもちろんですが、人を惹きつける最大の理由はやはりこのコースの美しさにあるとも思いました。

こんなに美しい峠道、初めて見た。

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序盤の天祥までの景色は心を奪われるほどの美しさと壮大さがありました。

渓谷の間を駆け抜け、大きな岩壁の下をすり抜けていく...

私はただただその景色に飲まれて、レース中にも関わらず感激の声を漏らし続けました。

全身で自然を感じているって、こういうことなんだなあ....と。

走っているだけでワクワクが止まりませんでした。

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2000mを超えたあとは一気に視界が広がり、青空が広がるので、勾配も景色の変化もあるコースで本当にヒルクライムの良さが詰まっています。

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それを一日で堪能できる素晴らしいレースなのです………

 

 

 

「自転車のヒルクライムは、自分の持つ力を完全に発揮させる、いわば自己実現競技。」

だと、KOMのホームページに書いてありました。

実際KOMを走ってそれを身をもって体験しました。

ヒルクライムにハマった理由の一つでもあるのが、自分よりずっと体格がいい男性とは山でなら互角に戦えることなんです。

重力に逆らったスポーツなので、体重どれぐらい違うだろうと、自分の体重相応の力を出せれば早く登れる。

パワメ用語でいうとパワーウエイトレシオ(PWR)の高さで勝負ができることです。

外国人参加者が大勢いるので、白人の体格のいい男性とトレインを組んだり、自分が先頭を引いてブリッジする場面もよくありました。

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中継映像のスクリーンショット

 

実際完走して素直に思ったことは、

過去に味わったことのなかった過酷なレースでした。

ただただ自分の弱さをひしひしと実感した105km。

 

 

日本のヒルクライムレースはほとんどが1時間未満、長くて1時間半の全力アタック。

それに対応できるように、今年は短時間高強度の練習をメインにやってきました。

1時間で全力を出せる力は以前よりだいぶ付きましたが、

KOMは全くの別物でした.....

5時間以上登り続けるヒルクライムなんて、そもそも経験したことがなかったです。

途中にエイドが4箇所設置されていますが、ほとんど止まらずに105kmサドルに座り続ける訳です。

補給のタイミングや給水の頻度、すべて自分で管理して、5時間も走るので全力を出すことはできないけど、ある程度の強度で走り続けなければならないと分かっていながらも、序盤の緩斜面区間はトレインについていった方が足を温存できる。65km経過までは1000mほどしか上昇量がありません。

残りの40kmで2500mほど登る体力と足をいかに残すか、それでタイムを縮めたいとなると....

その辺の兼ね合いも含めて、このコースのペース配分は非常に難しいと感じました。

同じようなコースは日本にはないので、練習のしようがないと終了後に頭抱えましたね(笑)

あまりにも長いレースなので、各区間での反省点が山ほどで、次回までどう改善していくか脳内処理が追い付きません。

 

幸い、危惧していた高山病現象は現れなかったので、標高2700m超えた後は全く力が入らなかったものの、呼吸も普通にできてなんとか登れました。

でも後半はミネラル不足もありましたが、疲れ切っていて変な踏み方をしてしまいました。ラスト5kmで右足をつったのがかなり痛かったです....

そこからは全くペース上げられず、ただただ登り切ることだけ考えていました。

足攣った後に自転車降りるとしばらく動けないし急勾配で再スタートできないので降りないようにしました。過去足攣りながらあざみを2回登った経験で急勾配での足攣り対応ができたのは何より.....絶対要らない経験だろうと思ってたのがこんな時に役に立つとは思ってもみなかったです(笑)

まあ...95km登って、よし、残り1あざみラインだ!とかギャグですよね。

ただ登るならまだしも、開始地点で既に標高が2600mもあって登れば登るほど酸素が薄くなっていくから、パワーメーターの数値が130wとかしか表示しなくて苦笑。

天気がすごくよかったので、ゴール地点もこれから登る道の勾配もはっきりと見えて、それがなかなかメンタルに来るものでした^^

  

走ってる最中に他の参加者の機材を見た限りでも、ラスト10kmの急勾配に対応するためほとんどの人はリアのスプロケ30t以上付けていました。

今回リア11-27tで参加したのが大きな失敗だったように思えます。

ギアが足りないのは死ぬほど辛かったです。最後時速5km切ってたんじゃないかぐらい....久々に歩いた方が速いスピードで登っていました。

来年参加を検討している方がいらっしゃいましたら、とにかくリア30t以上付けてください、絶対役に立ちますからw

 

 

今回は「Audax坂バカ」の皆さんと参加なので、スタート地点ではふぃりりんの近く、序盤では馬さんなるさんなおさん、後半ではひでおさんざくさん達とちょっと一緒に登れました。

ざくさんと走ったのが一番長かったのかな....

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面白い話ですが、レースが長すぎて完全に会話できるペースでしか登れませんでした^^;

心拍は後半になると140台、レース全体通して平均パワー140w前後、データだけ見ると本当にただのゆるポタ以下ですが、それが死ぬほどしんどかったです.....

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でもどんなにしんどくても、足攣った後でも、始終笑って登っていた自分がいました。

大会で自分が映っている写真はどれを見てもめっちゃ笑顔。

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本当に楽しかったんだろうな.....と

自分のことなのに何処か知らない人を眺めている気分でした。

走っている最中はいろんな方から声かけられたり、たくさんお話しできてとても楽しかったです。

 

辛い、早く終われと思ってたレースも、下山のバスの中では既にまた登りたい!と言い出したり.....病気ですね。^^

実際自分がボロボロだと思ったこのレースでも、途中で一緒に走っていた方にゴール後に白人の方に話しかけられて「とてもパワフルな走りで参りました!」との有り難い言葉を頂いたり....

台湾の方にはこのタイムすごいよ!と言われたり....実際このコースは完走するだけですごいという認識なんだな....常に上を見て追いかけてきた自分はハッとさせられました。

でもやはり悔しくて悔しくて堪らないです、やはり自分はこういう性分なんだなあと改めて思い知る機会でした(笑)

 

目標にしていた5時間切りには2分43秒届かず、

完走タイムは5時間2分43秒

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女性では16位でした。

平均時速21km/h。

 

105kmほどで3500mアップするヒルクライムレース、

トップは3時間26分、時速31km/hでゴールしてるから世界は広い……

一歩踏み出すと違うスケールの世界が観れるから、台灣に来て本当によかったと心から思えました。

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finishの綴りを間違えた主催(笑)

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今年は大晴天で頂上も10℃ぐらいあって、エキップジャージで走っても凍えることはありませんでした。頂上では流石にレインウェアを着ましたが^^

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ふぃりりん、ハルさん、ざくさん。

散々道中でざくさんを煽ってたのに最後に足攣りで20秒負ける情けなさw来年こそ刺せるように鍛えときます....

 

共に参加した仲間達も続々とゴール。

笑顔が絶えないメンバーで本当に一緒に参加できてよかったです。

 

 

 

 

ここまで読んで頂いて、この大会に興味を持つ方も沢山いらっしゃることだろう....

一応KOMの公式HPに載っている募集要項を添付します。

 

参加資格:

  1. 過去にこのレースにて6時間30分以内に完走を果たしたことのある者。
  2. 距離、勾配、登頂、気候などにチャレンジしてみたいと思う世界各国外国人ライダー。
  3. 招待された世界的知名度を誇る自転車ヒルクライム選手及び世界トップクラスの女子選手。 

 

項目\地点 キロ数km 標高m 通過制限時間  
西宝 46.1 915
新白楊 64.8 1644
碧綠神木 79.4 2150 10:30 保温用車 簡易メンテナンス
関原 90.7 2374 保温用車
大禹嶺 94.9 2565 12:00  
武嶺 105 3275 13:00 完走メダル表彰授与式リュックなどお預け荷物の受け取り。
(昆陽)昼食配布.チップ返却時に保証金を返金。
下山バスあり。

 

日本の方でこのコースを走って6時間半以内にゴールできるかどうかは確かめられないので、時間内完走の何個か基準を上げておきます。

最大限の制限タイム6時間30分を使い切った計算では、

87km、3500mなので、1時間540m登るペースを6時間半続けられることが必要。

私の今回のタイム5時間2分は平均1時間700m登るペースを5時間続けた結果になります。

こうやって改めて見てみると、かなり頑張ったように思えます…

なので、時間内の完走は

まず富士ヒル1時間30分切りをある程度余裕持ってできる登坂力は最低でも必要と考えます。

それだけではなく、長時間走り続けるのである程度ロングに対応できるスタミナも必要です。

 

悪天候なら頂上は0℃近くになりますし、途中でDNFするなら回収車が来るまでかなり待たされて死ぬほど凍えるので、リタイアするぐらいならメカトラでない限り自分で登り続けた方がマシだと過去にDNFした方が言っていました....

まじか....ってなったけど、標高3000超えますもんね....山は舐めたらあかん;

 

海外のレースで、時間制限も厳しいので、敷居高いと思われるかもしれないですが、

こんな素晴らしいレースがあるので、

坂がちょっと苦手な方でも、少しでも興味があるならば、

参加を目標に取り組んでみても一つの新しい楽しみ方では?と思いました。

 

ちなみに、外国人エントリー枠は300人までという……

参加者が増えつつあるこのレース、来年はエントリー峠もあるかもしれません…??

 

 

今回一緒に走った皆さん本当に大変お世話になりました。

また来年、チャレンジしに行きます。

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